海から届く香りを受け取り、未来へ手渡そうとする人がいます。
龍涎香の研究と香りの探究を続ける吉田 恭隆。
THE EXPLORER
感覚の探究者 吉田 恭隆
Ⅰ目に見えない美しさを探して
若い頃、祭りの踊りの舞台に関わっていました。
素人の踊り手たちが、どうすれば生き生きと踊れるのか。どうすれば、その目に光が宿るのか。
上手さではなく、そこに立ち現れる「目に見えない美しさ」を引き出すこと。
その探究が、のちの香りの仕事へとつながっていきます。
Ⅱ自然からの贈り物
その後、体調を崩し、人生の歩みが一度ゆるやかな時間へと変わりました。
何もせず、ただ散歩をする日々。
太陽の光を受けた水仙の花が、まるで語りかけてくるように感じられたといいます。
自然には、人の感覚を静かにひらく力がある。その体験をきっかけに、植物療法や自然療法への関心が深まり、香りの研究を始めるようになりました。
Ⅲ植物の命を尊重する製法
大切にしているのは、植物を「素材」として扱うのではなく、命として尊重することです。
近代的な香料抽出では、強い熱を加える方法が多く使われます。しかし、植物の繊細な香りをできるだけそのまま引き出す非加熱抽出という方法を選びました。
植物の命を尊重することは、人の感覚を尊重すること。
その姿勢を大切にしながら、香りの研究と開発を続けています。
Ⅳ海と龍涎香
やがて母なる海との出会いが、新たな探究の扉を開きました。
水平線を眺めていると、目に見えない世界から何かが届くような感覚。
その感覚は、奄美大島に伝わる神の国ネリヤカナヤの物語とも重なります。
その流れの中で出会ったのが、海から届く神秘の香料――龍涎香でした。
香りは、自然からの小さな贈り物。それに気づくことで、人の暮らしや感覚は少しずつ豊かになっていく。
わたしは、そう考えています。
目に映らないものが、わたしたちの全体性を支えている。
香りは、そのことをそっと思い出させてくれる存在です。
Ⅴ香りの探究を支える、二つの流れ
海から届いた香りは、研究と創造という二つの流れを通して、新しい物語を生み出し続けています。
Ambergris Japan
龍涎香の研究・保存・文化発信を行う団体。
希少な天然香料である龍涎香の調査や研究を行いながら、その文化的価値を未来へとつなぐ活動を続けています。奄美大島では、海洋展示館での展示・講演・香り体験を通して、地域と海の記憶をつないできました。その存在は、NHKやTBSをはじめとするメディアでも紹介されています。
Bariberry
香りの研究とプロダクト開発を行うブランド。
非加熱抽出をはじめとした独自の製法を用い、自然の持つ繊細な香りをできるだけそのまま引き出す研究を続けています。植物療法、鉱物療法、同種療法、水や波動の研究など、古くからの叡智と現代の感性を重ねながら、香りの新しい可能性を探究しています。